WADIA WADIA6 3台目
今回もWADIA6です。これで3台目になりました。
三重県のK氏より表示窓が外れかけているので修理と、全体のチェックをとの依頼で此方へきました。
ワンオーナーで20年近く経ちますが、外観はほぼ無傷で綺麗な状態です。
大事にされてきたのが判ります。
表示窓を修理する為に天板を外すとトレイ・リフトベルトが共に伸びていましたのでベルトを汎用品にて交換を行いました。
天板を外すのに6角穴付きボルトを8本外さなければいけませんが、今回は4隅のボルトの頭がナメテいたので外すのに一苦労しました。
アメリカ・イギリスはインチネジなので多分修理の時にミリネジの工具を使いナメテしまう物と思いますが、工具は正しく使って頂きたいものです。
表示窓は元の接着剤が一部剥がれており、過去の修理?で瞬間接着剤が塗布された様にみえますが、この瞬間接着剤もはがれていました。
瞬間接着剤は年数を経ると剥がれる事が多いので良くないですね。
前面パネルは15mm位のアルミの厚板を加工して作られています。
表示窓の部分は1mmの厚さまで削られています。
見るからに手間とお金が掛かっていますね。
チェックを始めると半田クラックが各所でみられましたので全基板の半田増しを行う事としました。
D/Aアナログ基板の電源用ブロックコンデンサの頭が膨らんでいました。
前回も同じコンデンサが駄目になっていたのでここの電源は良く使われているのでしょうかね。
トレイ・リフトのリミットSWの接点はかなり黒ずんでおり導通不良となる手前の状態です。
この後音質改善に出力のオペアンプ交換や電源強化を行い修理作業はほぼ終了となりました。
音は中低音の押しが強い元のWADIA6に高音域を伸ばす様にしましたので、今まで以上の空間の広がりを感じて貰えると思います。
今回たまたまWADIA6が3台在りますので記念撮影です。
壮観ですね、多分こんな事は2度とないでしょう。
一番上がK氏のWADIAです。
下のWADIA6もタイミング良く音質改善で此方に来ている物です。
エージング2日目に音飛びが発生する様になり、3日目には曲の頭出しで再生がストップする状況となってしまいました。
アイパターン波形やレーザー電流の確認を行ったところ、ピックアップの劣化がかなり進んでいる事がわかりこの後ピックアップの交換となりました。
3日連続の音出しエージングでなだれを起こす様にピックアップが劣化したのには驚きです。
元のピックアップには489のサインが有るのでレーザー電流は48.9mAだったと思われます。
ピックアップ交換後は音飛びも無く順調に再生する様になりました。
返却前にピックアップの劣化が見つかって良かったと思います。
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Lo-D DAD-001
今回は今は無き日立のオーディオブランドLo-DのDAD-001です。
トランスポートとD/A変換とに分かれたセパレートタイプのCDPの先駆けとなったプレーヤーで、おまけに受注生産だったので現在何台動作している物があるのかと言う具合でかなり貴重なCDPです。
ほとんど使用していなかった様で状態はとても良く全くと言ってもいい位傷が有りません。
今回はCDの認識が出来ないとの事で此方にきました。
トランスポートの内部です。
始めてCPU基板を扱った頃と同じ様な基板の作りで懐かしさを感じます。
内部はヤニの様な物が全体に付着しており、ピックアップのレンズも曇っていました。
清掃を行いましたがCDは認識できず、良くみるとピックアップ内部にも曇りがみえます。
分解は出来そうにないので手持ちのピックアップと交換してCDの認識・再生は出来るようになりました。
D/Aコンバーターの内部です。
トロイダルコイルと思われる大きなトランスが眼をひきます。
リケノームの抵抗やスチロールコンデンサが大量に使われディスクリートで作られたアナログ回路は手間とお金がかなり掛かっていると思われます。
表示器と操作ボタンが整然と並べられ、流石は真面目な日立さんと思わせます。
現在のCDPに比べサーチが若干遅いですね。
音はいいですね、情報量・音域レンジの広さ・スピード感当時のLo-Dの技術力の高さが音に反映されていると思います。
丁度WADIA6が在るので音を比べましたが全然ひけを取りません、レンジの広さはこちらが上ですね。
cambridge audio D500 SE
SONOGRAPHE SD-1 2台目に続き、再び石川県のK氏よりイギリスのケンブリッジ・オーディオのD500 Special Editionの修理依頼です。
CDが認識出来ないのと、CDの再生が出来ていた時にはPlayで再生が始まっても音が出ない事があるとの2件の不具合です。
早速天板を外してCDの動作を確認しました。
ピックアップのフォーカス動作とCDドライブモータの回転は行っている様です。
シールドの銅ケースが綺麗ですね。ただ修理する時は半田付けで取付けているので外すのに一手間かかり厄介です。
ピックアップ(KSS-213C)やRFの信号処理ICはSONY製の物が使われていました。
アイパターンを確認する為配線を外そうとした時に問題を見つけました。
フィルムケーブルの一部が断線しています。
断線箇所を細いケーブルで修理して再度動作確認です。
不具合1つ目のCDの認識はここを修理する事で出来るようになりました。
CDドライブユニットを外したのでトレイのリミットSWの接点の状態を確認です。
銀の接点は案の定黒ずんでいましたので清掃しておきました。
2件目の不具合のCDの再生が始まっても音が出ないのはどうもD/A変換に問題が有るようです。
D/A変換への音のデータは来ていますが、D/A変換からオペアンプ(電流/電圧変換)へ信号が出てきません。
それも時たま出ない事が有ると言った状態です。
D/A変換のICデータを見ながらピンの状態をオシロスコープで確認する事1日やっと不具合箇所を見つけました。
部品の劣化?設計時の甘さ?と断定が出来ない不具合でした。修理できて一安心です。
音の傾向は以前紹介したLINN KARIKに通じる物がありますね。
流石はイギリス製です。
中低音の張り出しと切れの良さが心地良いですね。私も好きな音です。
エージング2日目で再び音が出なくなってしまいました。
調べて行くと今度はD/A変換への音のデータ信号が入って来なくなっていました。
前の調査時に同じ症状を一度確認したのですが一度きりだったので確認間違いだったのだろうと思っていたのですがどうもこちらも問題が有りそうです。
信号をだしているのはSONYのCDP用シグナルプロセッサのCXA401です。
色々調べましたが信号が出なくなる要因が見つけられずいよいよこのD500は修理不可かなと諦めかけていましたが、CXA401にアナログ出力端子がある事を見つけ、この端子からの信号にフィルタ回路の追加と現在のオペアンプ回路をバッファーとして使用出来る様に変更する事としました。
コントロール基板の左上の隅にフィルター回路用のパターンがあったので部品を実装するだけで助かりました。
オペアンプ回路はほとんど元の部品を外し再度ジャンパーや抵抗を入れ替えました。
出力のオペアンプはソケットにしていますので色々交換して音の違いをためせますが、このD500のオペアンプの電源電圧が ±5Vと低い為に音が良いと評判のオペアンプと交換しても変化が少なく残念です。
完全にカスタム仕様となったD500ですが音はカップリングコンデンサを音響用に交換したり、電源用のコンデンサを強化する等の改良を加えましたのでそこそこに聴ける音に成ったと思います。
LUXMAN L-580
今回は我が家の現在のシステムで一番古参のアンプLUXMAN L-580のオーバーホールです。
プレーヤー等の修理後の音出しにかなり酷使した為かこの正月明けに高音域での音の濁りが感じられる様になりました。
最近は夜も昼もこのアンプが鳴っていない時はないくらいの使用頻度でしたのでとうとうギブアップの様です。
カバーを取ると1/3を占める程のパワートランジスタ用の冷却フィンとこれもまた大きい電源トランスが眼にはいります。
配置はシンプルで回路を追うのが楽そうです。
手前右にあるドライバー基板等を外そうと思いましたがどうも裏からでないと取れないようです。
サイドに2002年に修理を行った時のシールが貼られていました。
丁度このアンプを購入した少し前に修理をした事になります。
裏に有るボトムシャーシーはセラミックをFRPに混ぜて作ったとのメーカーの説明が有りますが、持った感じと型で抜いている外観はまるでアルミ鋳物です。
ボトムシャーシーを取り基板押さえのステーを取れば基板が出てきます。
内部には錆び等無く過去に亘って環境の良い所で使われてきた事がわかります。
なかなか分解しやすい構造で整備性はいいですね。
こちらはドライバー基板の半田クラックです。見事にヒビが入っています。
他にも多数のクラックが有りました。
こちらはヒートシンク部分に取り付けられているパワーアンプ基板の半田クラックです。
ここはパワートランジスタへのコネクタ部分です。
L型のコネクタピンの先に直接パワートランジスタが半田付けされています。
A級動作のアンプの為に常時出ている熱気はかなりの物なのでクラックが出るのは仕方がない事ですね。
今回は早めの修理を行いましたので、電解コンデンサ以外で交換部品は無く作業も順調に進みました。
L-580の修理中は古いLUXMANのL-309で音だし確認をしていました。
L-309は高音域での繊細さは無いものの低音の迫力はL-580より有るなと感じました。
しかしオーバーホール後L-580に戻すと出てくる音の迫力が違いますね。
今まで聴いていたL-580の音は何だったんだろうと思うほどオーバーホール前よりもレンジの広がりとスピード感がアップしています。
どうも半田クラックで音の情報が無くなっていた為に低音の迫力がL-309にも敵わないと感じてしまったようです。
以前の修理時に行ったと思われる半田部分は全く問題の無い状態でした。
メーカーの半田槽で行う半田付けはほとんどが薄付け状態に成っているため経年劣化による耐久性は低いので修理するならば全体の半田増しを行ってもらいたいもんですね。
代理の「思うところ」・・・(L-580 押しかけ女房・・1)
代理の「思うところ」・・・(L-580 押しかけ女房・・2)
代理の「思うところ」・・・(L-580 押しかけ女房・・3)
代理の「思うところ」・・・(L-580 押しかけ女房・・4)
代理の「思うところ」・・・(L-580 押しかけ女房・・5)
代理の「思うところ」・・・(L-580 押しかけ女房・・終)
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