今回は埼玉のN氏よりの依頼でYBAのCD1Δです。
このCD1Δは音飛び修理とオーバーホールを兼ねて此方に来ました。
1997年辺りに発売されたと思われるYBAのフラグシップ機で、パドラックス方式用のブルーダイオードが使われている以外は何も詳細は判らないプレーヤーですね。
音飛びとの事なのでまずはピックアップの状態から確認です。
アイパターンは2.5Vととんでもない大きな波形が出てきます。同じYBAのINTEGREでは1.6V位とこちらも大きな波形ですがそれを軽く上回ります。
ピックアップとしては劣化していないと思われるので、音飛びは他の要因によるものと思われます。
オーバーホールの為に基板を外そうとしましたが、各基板どうしで信号線や電源線がはんだ付けされており個別で外す事が出来ません。
過去に修理しているYBAのINTEGREと同じでメンテナンス性は全く無く、修理屋泣かせの構成です。
此方が基板の裏に回って配線されている信号線や電源線です。
茶・白・青は単線なので融通が全く効かずこの後のオーバーホール作業の為に配線を全部外す事に成りました。
基板類を取り払ったシャーシーです。
アルミに黒の塗装がほどこしてあり、ネジ類もステンレスと磁性体を使わないようにしています。
この辺りの作りは非常に丁寧ですね。
コントロール基板に多用されていた香港製の電解コンデンサです。
ヨーロッパの製品なのでできればROEやPHILIPS辺りのコンデンサを使ってもらいたい物です。
プレーヤーで使われている部品の中で一番高価と思われるフロントパネルです。
7mm厚のアルミ板に穴加工を施してスイッチ穴や表示窓を作っています。
ピックアップも交換との依頼の為ピックアップを交換しましたが新品のピックアップに付いてきた配線が太くて硬くスレッド動作に影響が出そうだった為、元のピックアップに付いていた配線と入れ替えです。
ピックアップについているブルーダイオードはレーザーダイオードの足に直接はんだ付けされているので交換にはかなり神経を使います。
高級機の割にはCDドライブのフレームがプラスチック製で剛性が低そうなので今回アルミ板による補強です。
このプレーヤーのD/Aコンバーターの後はディスクリート構成となっており音に一番影響しているのはやはりYBA製のダイヤモンド入りコンデンサです。それも片chに2個使いです。
音に関係する電源は写真下段の電源ユニットでDCにした状態で本体ユニット側にコネクタで供給しています。
YBAを見て感心するのは、音質改善でこうすれば良いと思われる事の大半をメーカーが既に行っている事です。
作業もほぼ完了し連続音出しを始めて1日経過した位から音飛びがたまに出る様になりました。
ピックアップから出ている配線がスレッド動作の負荷に成っている様でしたので、配線の取り回し等を変更しました。
使用されている配線をもっと柔らかい線に変更すると良いかも知れませんね。
オーバーホールの他にも高精度クロックへの交換やダイオードを高速の物への変更等、メーカーで実施していない音質改善を追加しましたので更に繊細で豊かな音になったと思います。
WADIA等とは違った音作りで聴き入ってしまう魅力が有ります。
返却するもののCD認識不良・音飛びと不具合のオンパレードとの事で再度入院です。
アイパターンを診るも波形が出来ず全く駄目な状態と成っている状態でした。
色々と試しましたが症状が改善せず、再度ピックアップの交換となりました。
結果は良好です。驚いたことに今回のピックアップではアイパターンの電圧幅が4.5Vも有ります。どうもこのCD1Δではこれが新品時の電圧幅の様です。
このアイパターンの電圧幅もRF回路によって色々と違いが有る様で統一性は無く迂闊にピックアップの良否判定出来ない物だと思わされました。