WADIA850 5台目 LTD-Blue
2015年よりオーバーホール>LTD+>Blue化と段階を踏んで音質改善をされてきたWADIA850LTD-Blue+の滋賀のT氏から現状連絡が来ましたので紹介です。
早い物で愛機850を2015年にメンテナンス&バージョンアップして頂いてから9年が経とうとしております。
この間、コロナ禍の中でも850Blueの奏でる音はずっと私の人生を毎日豊かにしてくれています。
熟成を重ねた850の音は、CDプレーヤー、アンプ、スピーカーという「電気機器」から出てくる感覚は消え、音楽家達が歌い、演奏した音を録音した空気やホール・空間を目の前に自然に再現してくれているその場に立ち会い、楽しんでいる感覚です。
「CDプレーヤーがアンプ以降をドライブする」と言われている感覚もわかりますが、最近聴いていて思うのは、良い録音のCDの中に込められている、録音時に音楽家が歌声や音楽に込めた「力」がそのまま自然にストレートに部屋と体に響いてくるのが愉しいです。
アンプを素朴な回路のものに変えてから尚更そう感じます。
CDをかけ変えるごとに目の前の風景や空気感、録音機器とその時代が変わるので、録音された音楽と背景を味わい尽くせます。
感想とは別に昨今の異常な猛暑を気にされているようなので少し
WADIAは常時通電を推奨しているので温度が常に上がっている状態で雰囲気温度より10~15℃程度(筐体表面温度)は高い状態になります。内部はこれより10℃位高いと思います。
雰囲気温度が35℃ならば内部は60℃近くと思われますので、あまり好ましい状態では有りません。
パルスアレイ・D/Aコンバーター・オペアンプ等電子部品の一番温度に弱そうなもので絶対最大定格の動作温度は-20℃から85℃なので余裕が有る様に見えますが残念ながらそうでは有りません。絶対最大定格はそれを超えると壊れますと言う物であるし、常に高い温度にさらすとダメージが蓄積して破損に至ります。
兎に角常温の25℃辺りで使う事が不具合を起こさないコツだと思います。
また電源の入り切りを頻繁に行うのは温度を上げたり下げたりしている状態なので基板のパターン(ICの内部も同じ)にダメージを繰り返し与えている様な物です。
温度の変化でパターン・半田(銅・鉛・錫等)が伸びたり縮んだりを繰り返しますが基板(ガラスエポキシ・エポキシ等)とは膨張収縮率が違いますので、酷くなると半田クラック等の不具合発生と成ります。
折角の愛機なので涼しい環境での使用を心がけて頂ければと思います。
2017年8月2日掲載
一昨年オーバーホール・音質改善、去年LTD化と段階を追改善されてきたWADIA850の滋賀のT氏より今回Blue化の依頼です。
今年2月の受付予告を見て次のバージョンアップを見越し着手可能となった時にはぜひお願いしたいとの事で、遅ればせながら半年後の実施です。

blue化で外したコンデンサですが今回はスケールを一緒に写したので大きさが判ると思います。
音は十分期待に応えられる仕上がりと成っていますのでオーディオライフの充実間違いなしですね。
2016年4月20日掲載
去年の受付で音質改善を行ったWADIA850の滋賀のT氏よりLTD化を行ってほしいとの事で再びやって来ました。
T氏より
「850はO/Hとバランス出力の音質改善で、まるで別物のように生き生きと音楽をたのしませてくれています。これ以上どこを良くするのだろうと思いながらさらなる変貌を聴きたくLTD化をお願い頂く次第です。」(少し文面を端折っています)
以上の申し出でですが音質改善は基礎体力を健全な物とした状態までですが、LTDはその持っている能力を目一杯出せる様に変更をしますのでかなり聴き応えが有る音と成り音質改善では見えなかった表現がハッキリ判る様になると思います。

出力回路用の電源を専用で設ける事は高級機では当たり前の処方ですが効果ありですね。この他にもVRDS機構の補強等音に対して影響の有る改善を施していますが写真ではお見せ出来ません。
今回WADIA850入院中にT氏自身で山手サービスのブログに写っているXLRケーブルを作ったと思われるのでWADIA850LTD+XLRケーブルで音としてはかなりの変化が起こる物と思われますので楽しみですね。
2015年9月8日掲載

今回は滋賀のT氏からの依頼でWADIA850のオーバーホールの依頼です。
受付時はノアでの修理受け付けが出来た時期なのですが、ブログで850のオーバーホールを見て所有の850にもオーバーホールや音質改善をしたいとの事で、事前にノアでのピックアップ交換やギアの交換をしたうえで此方にきています。

まずは現状の音出し確認を行いましたが音の出力レベルが低くWADIAの迫力が出てきません。
内部を確認すると出力回路のゲイン調整が設定替えされており音が絞られていました。T氏に確認するとパワーアンプダイレクトで使用する時に850のデジタルボリュームを最大で使う為に設定替えを行ったそうです。
デジタルボリュームが50以下に成らないのであれば基板上でのゲインは落さ無い方が良いと思われるのでスイッチの設定は戻す事にしました。
WADIAのデジタルボリュームは少々落としても分解能を落とさない工夫がデジマスター側のソフトでされておりますので、ハードのゲイン回路等で落とすよりは良好な音に成る様です。

ピックアップの状態確認やギア周りの確認で異常のない事を確認した後でオーバーホールの実施です。
コントロール基板を見るとEFM信号処理ICのデカップリングコンデンサの足が浮いていました。一度は半田をした跡があるので販売後のメンテナンスでのミスでしょうか、直接的な影響が出ない処なので判らなかったのでしょうね。

此方は表示パネルの裏面です。WADIA6・21とは違ってフィルムシートでの表示窓に変更されています。
これなら表示窓の脱落は心配しなくても良いですね。

オーバーホール・音質改善とスムーズに作業もすすみほぼ完成です。
大きさはWADIA6・21と比べ大きいのですがピックアップ周りの確認に関しては整備性が非常に悪くピックアップを交換・確認するには右のD/Aアナログ基板を外すその下に有るコントロール基板上のアイパターン測定ポイントに配線を繋ぎ、その後D/Aアナログ基板を元に戻さないとCDドライブが動かない構造と成っています。

音質改善で音域が広がった事でデジマスターの潜在能力が発揮出来る様に成り気持ちの良い音がでてきますね。
ジャンルを問わず色々なCDを聴いて頂ければと思います。
2015年今年最初の修理受付時にはノアでの修理が出来ていたのですが現在は修理受付がされていない様です。修理不可のWADIAは2012年に販売されたモデルにも及んでおり驚きです。ノアが自社で販売していない物を体よく切り捨てた感じですね。
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今回は山口のT氏からの依頼でWADIA6改Spirit-Blueの作製です。
嬉しい事に「最高のWADIAを聴いてみたく」オークションで購入したそうです。
現状は特に問題は無いとの事ですがリモコンが学習リモコンだった様で一部機能が無い状態です。

シリアルNo.は後期の番号なのですが、中を見ると前期の基板に載せ替えられていました。出力のオペアンプ回路部に使われている茶色のフィルムコンデンサは初めて見るタイプです。いつもはEROの水色のコンデンサなのですがどうしたのでしょうか?

載っていたピックアップはHマーク付きなので残念ながら交換です。
ベルトが交換されていたのでピックアップもその時に交換されたんでしょうね。

表示窓の接着はお決まりのクラック発生です。

D/Aアナログ基板に使う音響用ブロックコンデンサ(基板右端)や電源補強用の音響用コンデンサが今年の3月頃に生産終了の案内連絡がきて、最終受注は本年の12月31日と成っていました。
高い単価と最低発注数量の多さよりあまり余分に購入していなかったので急ぎ手配をしましたが、当方の取引している商社では殆ど購入が出来ない状態でした。
結局海外の大きな商社より購入する事に成りましたが単価が今までの5~10倍ととんでもない状態ですが背に腹は代えられないので出来る範囲で発注しました。
この音響用コンデンサに先立ち音質改善に使っているオペアンプ類も今年の1月に生産中止に成っている事が判り、此方も海外の商社に急遽出来る範囲で発注しました。
此方は2倍強の単価と成っていました。
以上の価格の上昇が今回の受付分から影響するのでかなり代金が上がってしまい申し訳なく思います。
出来る範囲でコンデンサ等を購入しましたが、先を考えるとオペアンプやコンデンサの選定を再度する必要が有りそうですね。

WADIA6改Spirit-Blueを試聴した感想が届いていますので紹介です。
「ひとまず、一晩通電しましたが、良い感じとなってきました。つないですぐは、硬かったのですが、Wadia6は通電しっぱなしでないと音にならないので、一晩は様子をみてみました。
これからの変化が期待です。満足できる結果になりそうです。」
改善効果を知る為には、兎に角よく聴いているCDを掛けてみる事ですね。
色んな所での聞き覚えの無い音の出会を楽しんでください。
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WADIA WADIA850LTD-Blue+ 20台目

今回は福島のS氏からの依頼でWADIA850LTD-Bule+の製作です。
1998年に購入して使用してきており、現状は左chから時々雑音が出るようになっているそうです。
購入元ではもう修理出来ないとの事でWebで修理の情報を探し当方を見つけての依頼です。

状態を確認しようとしましたがCDの認識が出来ないのでピックアップの交換からです。

ピックアップを交換時にスレッド動作の摺動部分に大量のグリスが塗布されているのに気が付きましたが後の清掃としたので思わぬ問題を先送りしてしまいました。

今回はデジタル出力を使いたいとの要望が有り、
デジタル出力回路をコントロール基板上に追加し、リアパネルのデジタル出力用の穴をそのまま利用して完成です。

実装密度の高い場所の表面実装部品を外すのはかなり集中力が必要です。

他は大きな問題もなくLTD-Blue+の製作も終わりエージング開始です。

音出しエージングはリピート再生で3日間連続で行いますが、何故か再生が途中で止まる状態の発生です。
確認するとスレッドガイド部に0.5mmの打ちキズ(盛り上がり)が有りどうも此処の場所でスレッド動作が引っ掛かりを起こしている様なのでCDドライブユニットの交換と成りました。
ユニット交換後今度は音飛びの発生です。
此方はピックアップの初期不良と判り交換です。
アフターパーツのピックアップは購入後検査しますが、そのまま使えるのは購入分の約半数程度なので歩留まりがかなり悪い状態です。

エージングが始まったばかりでまだまだこれからのはずなのですが、屈託なく朗々と鳴ってくれていて、
何と言いましょうか、総じて一音一音が大地にどっしりと根をおろして微動だにしない、
地に足のついた音と言いますか、そんな印象を持ちました。
今後、エージングが進み、更なる音の粒立ちや潤いが増してどんな音楽を奏でてくれるようになるのか、とても楽しみです。
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WADIA WADIA861 3台目

今回は茨木のM氏からの依頼でWADIA861のオーバーホールです。
現状は特に問題ないそうですが後10年は使いたいとの事です。

VRDSはバージョンアップ品に載せ替えられていました。
手跡がものの見事に残っています、過去のメンテナンスのやっつけ仕事の結果ですね。

ピックアップは寿命状態だったので交換を要します。
この頃は販売時点でHマーク付きなので性能が良くないですね。

半田クリームが回っていなかったのか表面実装のボリュームが作業中に外れて落ちました。フットプリント部は予備半田をしたので銀色ですが、外れた時はボリュームと同じ銅の色でした。非常に珍しい事です。

M氏の所有になってはトレイ開閉で2度メンテナンスしたそうですが、内部をみるとD/Aアナログ基板を触った形跡が色々と残っているので他にも不具合が有った様ですね。

まだ他にも細かい不具合がありましたがオーバーホールの完成です。
電解コンデンサを全てグレードアップして交換していますので発売当時以上の能力を発揮してくれると思います。
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KRELL CD-DSP 音質改善 4台目

今回は埼玉のI氏からの依頼でKRELLのCD-DSPのオーバーホール・音質改善です。
当ブログの評価で最近オークションにて購入したそうで、現状はCDの読取り不良の状態との事です。

たぶん今まで見た中で一番埃が溜まっているプレーヤーです。天板のスリットから入ったのでしょが綿状に成っているのが判ります。
殆ど触られていなかったプレーヤーの様に見えますね。

ウエイトのラバーがへたりCDを押さえられなくなっていました。
これではCDを回すことは出来ないですね。
ピックアップのレンズも埃だらけだったので清掃です。
ピックアップは状態も良く十分使える状態だったのでやはりあまり動かされていなかったプレーヤーですね。

使われていなかった反動がこれでしょうか、コンデンサがほぼ膨張してケースにクラックが入って居ます。

大きな不具合もなくCD-DSP音質改善の完成です。
パッと見には判りませんがD/Aアナログ基板が以前の物とは違っており使われている部品も変更されていました。

試聴した感想が届いています。
昨日より接続し音出ししております。まだエージング前なので中高音に硬さが感じら
れますが分解能の高さは充分その片鱗を予感させます。
回路的にLTD仕様音質改善のオペアンプを組めなかったので残念ですが、繊細さや音の厚み等が向上しているので十分楽しめると思います。
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